この章では,次の内容について説明します。
OpenVMS システムのための TCP/IP および DECnet ネットワーク・ソフトウェア・オプション
使用している OpenVMS システムに適したネットワーク・ソフトウェア・オプションの決定方法
使用しているシステムをネットワークに参加させる準備
選択したネットワーク・ソフトウェアをインストールし,構成し,管理するために役立つ詳細情報の入手先
この章では,それぞれの簡単な紹介にとどめています。
それぞれの計画,インストール,構成,使用,および管理については,使用するネットワーク製品のマニュアルを参照してください。
この章で説明する内容
| 作業 | 参照箇所 |
使用しているシステムに適したネットワーク・ソフトウェアの選択 |
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TCP/IP ネットワークに参加するための準備 |
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TCP/IP Services のインストールおよび構成 |
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TCP/IP Services の開始および終了 |
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DECnet-Plus ネットワークに参加するための準備 |
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DECnet-Plus のインストールおよび構成 |
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DECnet Phase IV から DECnet-Plus への移行 |
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DECnet-Plus の開始および終了 |
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IP ネットワーク・バックボーンを介した DECnet アプリケーションの実行 |
| 概念 | 参照箇所 |
OpenVMS システムのためのネットワーク・ソフトウェア・オプション |
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HP TCP/IP Services for OpenVMS ソフトウェアの概要 |
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DECnet-Plus for OpenVMS ソフトウェアの概要 |
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DECnet over TCP/IP の使用方法 |
9.1 OpenVMS ネットワーク・ソフトウェア・オプション
OpenVMS システムを他のシステムおよびネットワークに接続できる能力は,OpenVMS オペレーティング・システムの機能の基本的な部分です。
OpenVMS システムで使用可能なネットワーク・ソフトウェア・オプションは,次のとおりです。
HP TCP/IP Services for OpenVMS
他のベンダによる OpenVMS のための TCP/IP インプリメント
注意
他のベンダのネットワーク・ソフトウェアの構成方法については,そのベンダの製品ドキュメントを参照してください。
HP DECnet-Plus for OpenVMS (Phase V)
HP DECnet for OpenVMS (Phase IV)
これらのネットワーク・オプションのうち 1 つを OpenVMS にインストールして使用することも,複数のオプションを組み合わせてインストールして使用し,次のような作業を実行することが可能です。
他の OpenVMS システムとリソースを相互操作し,共用する。
UNIX® や Windows NT® など,他のオペレーティング・システムを実行しているシステムとリソースを相互操作し,共用する。
DECnet プロトコルおよびアプリケーションを,TCP/IP プロトコルおよびアプリケーションと組み合わせて使用する。
表 9-1
で,OpenVMS のための HP レイヤード・ネットワーク・ソフトウェアについて説明します。
これらのソフトウェアは,OpenVMS オペレーティング・システムのインストールまたはアップグレード中に,インストールすることができます。
また,個別にレイヤード・プロダクトとしてインストールすることも可能です。
表 9-1: OpenVMS システム用の HP ネットワーク・ソフトウェアの選択
| 製品 | 説明 |
HP TCP/IP Services for OpenVMS |
TCP/IP Services は,弊社が業界標準の Transmission Control Protocol/Internet Protocol (TCP/IP) プロトコル・セットを OpenVMS VAX システム,Alpha システム,および I64 システム用にインプリメントしたものです。 OpenVMS システムが他の異機種混合ネットワーク (インターネット,UNIX システム,Windows NT システムなど) と通信する必要がある場合には,HP TCP/IP Services for OpenVMS ソフトウェアを選択します。 TCP/IP Services を使用すると,遠隔ホストに接続して,ファイルにアクセスしたり,メッセージを交換したり,アプリケーションを開発したり,ネットワークを監視したり,その他の重要な作業を実行したりできます。 TCP/IP Services は,システムで唯一のネットワーク・ソフトウェアとして使用できます。 OpenVMS では,DECnet ソフトウェアを使用することが必須ではありません。 TCP/IP プロトコルは,DECnet-Plus プロトコルと共存することができます。 TCP/IP Services をネットワークのバックボーンとしてインストールしながら,DECnet-Plus もインストールし,DECnet のアプリケーションおよび機能を引き続き使用することができます。 DECnet プロトコルを IP バックボーンを介して使用する方法については,9.11 節を参照してください。 TCP/IP Services ソフトウェアのインストール,使用,管理の概要については,9.3 節を参照してください。 |
DECnet-Plus for OpenVMS (Phase V) |
DECnet-Plus は,弊社が Digital Network Architecture (DNA) の Phase V をインプリメントしたものです。 このソフトウェアでは,以前の DECnet Phase IV 製品との完全な下位互換性の他,DECnet (NSP) および OSI を,DECnet,OSI,または TCP/IP ネットワーク・バックボーンを介して実行する機能も提供されています。 IP バックボーンを介して DECnet および OSI プロトコルを使用する方法については,9.11 節を参照してください。 OpenVMS システムが DECnet (Phase IV および Phase V) または OSI アプリケーションおよびプロトコルを使用して通信する必要があり,システムで TCP/IP または OSI プロトコルあるいはその両方と共存する必要がある場合には,DECnet-Plus ソフトウェアを選択します。 DECnet Phase IV から徐々にネットワークをアップグレードしている場合には,Phase IV 機能を OSI の機能および利点とともに使用できるため,DECnet-Plus の機能が役立ちます。 DECnet-Plus ソフトウェアのインストール,使用,管理の概要については,9.8 節を参照してください。 注意: DECnet-Plus には,DNA Phase IV および Phase V プロトコルの両方が含まれているため,DECnet-Plus をインストールする同じシステム上で別の DECnet Phase IV ソフトウェア製品を実行することはできません。 DECnet-Plus へのアップグレードについては,『DECnet-Plus Planning Guide』を参照してください。 |
DECnet for OpenVMS (Phase IV) |
DECnet Phase IV は,弊社が Digital Network Architecture (DNA) の Phase IV をインプリメントしたものです。 この製品には,DECnet-Plus (Phase V) で後に提供される OSI プロトコルや TCP/IP 通信機能が含まれていません。 TCP/IP Services ソフトウェアは,DECnet Phase IV とともにシステムで実行できますが,IP をネットワーク・バックボーンとして実行することはできません。 異機種混合環境ではなく,従来型の OpenVMS 環境で通信するために OpenVMS を使用する場合には,従来の DECnet 製品である DECnet Phase IV を選択する方がよい場合があります。 この章には,従来の DECnet Phase IV 製品について製品情報の概要は含まれていません。 DECnet Phase IV の使用方法については,『DECnet for OpenVMS Networking Manual 』およびDECNET-VMS-MGMT-UTIL-REF;の各ドキュメントを参照してください (OpenVMS Documentation CD-ROM に含まれています)。 |
表 9-2
に,複数の OpenVMS システム間の通信のための,可能なネットワーク・ソフトウェアの組み合わせを示します。
表 9-2: HP ネットワーク・ソフトウェアの相互操作性オプション
| システム A のソフトウェア | システム B のソフトウェア | システム A と B の間の通信に使用できるソフトウェア |
TCP/IP Services |
TCP/IP Services |
TCP/IP アプリケーション |
DECnet Phase IV |
DECnet Phase IV |
DECnet アプリケーション |
DECnet-Plus |
DECnet-Plus |
DECnet アプリケーション OSI アプリケーション |
DECnet-Plus |
DECnet Phase IV |
DECnet アプリケーション |
DECnet-Plus |
OSI |
OSI アプリケーション |
TCP/IP Services および DECnet Phase IV |
TCP/IP Services |
TCP/IP アプリケーション |
TCP/IP Services および DECnet Phase IV |
DECnet Phase IV |
DECnet アプリケーション |
TCP/IP Services および DECnet-Plus |
TCP/IP Services |
TCP/IP アプリケーション |
TCP/IP Services および DECnet-Plus |
DECnet-Plus |
DECnet アプリケーション OSI アプリケーション |
TCP/IP Services および DECnet-Plus |
TCP/IP Services および DECnet-Plus |
OSI アプリケーション DECnet アプリケーション DECnet アプリケーション DECnet を TCP/IP を介して使用 OSI アプリケーション OSI を TCP/IP を介して使用 TCP/IP アプリケーション |
TCP/IP Services および DECnet-Plus |
OSI (RFC 1006 をサポートする) および TCP/IP Services |
OSI アプリケーション OSI を TCP/IP で使用 TCP/IP アプリケーション |
TCP/IP Services および DECnet-Plus |
OSI (RFC 1006 をサポートしない) および TCP/IP Services |
OSI アプリケーション TCP/IP アプリケーション |
9.3 HP TCP/IP Services for OpenVMS について
HP TCP/IP Services for OpenVMS TCP/IP Services 製品は,業界標準の TCP/IP 通信プロトコル・セットを,Internet Engineering Task Force (IETF) によって使用される Request for Comments (RFCs) の指定に従って,OpenVMS にインプリメントしたものです。
TCP/IP Services を使用すると,異機種混合ネットワークがインターコネクトできるようになるため,ユーザは次のようにさまざまな方法で遠隔ホストに接続することが可能になります。
ネットワーク・ファイル・アクセス。 遠隔ホスト上のファイルにアクセスできる。
電子メール。 ホスト間でメッセージを交換できる。
アプリケーション開発。 アプリケーション・プログラマが,ローカル・ホストと遠隔ホストの間の通信のための TCP/IP クライアント/サーバ・アプリケーションを開発できる。
ダウンロードおよびファイル転送。 ホスト間でファイルを交換できる。
ユーザ情報。 同じローカル・ホストまたは遠隔ホストにログオンしている他のユーザに関する情報にアクセスできる。
リモート管理。 システム管理者が,遠隔ホストからネットワークおよびアプリケーションを監視できる。
遠隔ターミナル・アクセス。 あたかも自分のターミナルが直接ホストに接続されているかのように,ホストにアクセスできる。
遠隔コマンドの実行。 遠隔ホストに対してコマンドを実行できる。
遠隔プリント。 プリント・ジョブを遠隔プリンタに対して送信したり,遠隔プリンタから受信できる。
遠隔ファイル・コピー。 遠隔ホストにあるファイルをコピーできる。
遠隔ブート。 サーバは遠隔クライアントにブート情報を提供できる。
TCP/IP による相互接続では,それぞれのネットワークのハードウェアの詳細を意識せず,コンピュータは個々の物理的ネットワーク接続に関係なく通信することができます。 TCP/IP は,標準の伝送手段と,全二重で信頼性が高いストリーム通信サービスの両方を,ソフトウェア・アプリケーションに提供します。
HP TCP/IP Services for OpenVMS ソフトウェアは,OpenVMS システム,UNIX システム,およびその他の TCP/IP プロトコル・セットと Sun Microsystems' Network File System (NFS) をサポートするシステムの間の相互操作性およびリソース共用機能を提供します。 TCP/IP システムおよびその他のインターネット・ホストは,イーサネット,Fiber Distributed Data Interface (FDDI),トークン・リング,および非同期転送モード (ATM) などさまざまなネットワーク・ハードウェア構成で標準の TCP/IP プロトコルを使用して,データおよびリソースを共用しています。
TCP/IP ネットワークに接続されているそれぞれのエンド・システムは,ホストと呼ばれます。 それぞれのホストには,固有の名前とアドレスがあります。 ローカル・ホストは現在使用しているシステムであり,遠隔ホストは通信している相手のシステムです。 ホストは,ホスト間で情報を伝送するラインによって接続されています。 ラインは,データを 1 つのホストから別のホストへ渡すときに経由する物理パスです (ラインの例としては,電話ライン,光ファイバ・ケーブル,およびサテライトがあります)。
TCP/IP ネットワークは,パケット交換ネットワークと呼ばれます。 情報は,連続したストリームではなく,小さなパケット単位でホストからホストへ伝送されます。 たとえば,ホストから別のホストへ伝送されるファイルは,多数の小さなパケットに分割され,一度に 1 つずつ,ネットワークを介して送信されます。 それぞれのパケットには,デスティネーション・ホストのアドレスに関する情報が含まれています。 デスティネーションに着くと,パケットは組み立てられます。
データ・メッセージをソース・ホストからデスティネーション・ホストに出力先を指定するプロセスは,ルーティングと呼ばれます。
相互に直接接続されていないホスト間では,仲介ホストを経由してデータをソースからデスティネーションに転送できます。
9.3.1 OpenVMS Cluster システムのサポート
HP TCP/IP Services for OpenVMS は,OpenVMS Cluster システム,およびクラスタ・エイリアスの使用をサポートしています。
ネットワークは,クラスタをインターネット・エイリアスと呼ばれる,1 つの名前を持った 1 つのシステムとして認識します。
遠隔ホストは,クラスタ・エイリアスを使用してクラスタを 1 つのホストとしてアドレスを指定したり,1 つのクラスタ・メンバのホスト名を使用して,クラスタ・メンバに個別にアドレスを指定することができます。
9.3.2 TCP/IP Services 管理ツールおよびユーティリティ
HP TCP/IP Services for OpenVMS は,100 を超える OpenVMS DCL スタイルのコマンドが含まれた,総合的な使いやすいネットワーク管理ツールを提供します。
これらのコマンドは,TCPIP>
プロンプトで管理コマンドを実行することにより,TCP/IP Services の構成要素をローカルに構成し,監視し,チューニングすることができます。
UNIX 管理コマンドを使用して,コンポーネントの一部を管理することもできます。
使用しているシステムでの TCP/IP Services の管理方法の詳細については,『TCP/IP Services for OpenVMS Management』を参照してください。
9.4 TCP/IP ネットワークに参加するための準備
ホストで TCP/IP を構成するためには,その前に,一意な IP アドレスとホスト名が必要になります。 ネットワーク・ハードウェア・アドレスは,ハードコード化されていて固定されていますが,IP アドレスはそれと異なり,ネットワーク管理者によって割り当てられます。 ネットワークを公的なインターネットに接続する場合は,InterNIC から公式の一意なネットワーク ID を取得する必要があります。 IP アドレスは 32 ビットの長さ (8 ビットが 4 つ) になっており,これでネットワークとホストを識別します。 ホスト名は,通信を簡単にする目的で,コンピュータに割り当てられた名前です。
IP アドレスは,ホスト ID とネットワーク ID を指定し,ホストがどのパケットを受信して,どのパケットを無視するか決定するための判断材料を提供します。 ホストは,自身のアドレスおよびデスティネーション・コンピュータのアドレスを,サブネット・マスクと比較して,別のホストが同じサブネットにあるのか異なるサブネットにあるのか判断します。 デスティネーションのネットワーク ID がソースのネットワーク ID と一致する場合,パケットはローカル・ネットワークのデスティネーション・ホストに配布されます。 2 つのネットワーク ID が一致しない場合,パケットは IP ルータを経由してデスティネーション・コンピュータ宛に転送されます。
IP アドレスとホスト名の他に,次の情報をネットワーク管理者から聞いておく必要があります。
システムがローカル・ネットワーク上にない TCP/IP ホストと通信する必要がある場合,省略時ゲートウェイのアドレス
ネットワークが使用するルーティング・プロトコル
ホスト名を IP アドレスに変換するドメイン・ネーム・サーバのアドレス
ネットワーク・サブネットとブロードキャスト・マスク
また,どのエンド・ユーザ・サービスを提供するかということと,ユーザのシステムがクライアントとして動作するか,サーバとして動作するか,あるいは両方として動作するかについても決定しておく必要があります。
HP TCP/IP Services for OpenVMS のインストールおよび構成の計画の詳細については『Digital TCP/IP Services for OpenVMS Concepts and Planning』を参照してください。
9.5 TCP/IP Services のインストールおよび構成
HP TCP/IP Services for OpenVMS ソフトウェアは,次のいずれかの方法でシステムにインストールすることができます。
OpenVMS インストール・プロシージャのメニューから,オペレーティング・システムのアップグレードまたはインストールとして
DCL コマンド PRODUCT INSTALL を使用し,レイヤード・アプリケーションとして
TCP/IP Services ソフトウェアが正常にインストールされたら,次のようにメニュー方式の構成プロシージャを起動し,使用しているシステムおよびネットワーク固有の特性に従って,ソフトウェアを構成します。
$ @SYS$MANAGER:TCPIP$CONFIG
インストールおよび構成の詳細については,『TCP/IP Services for OpenVMS インストレーション/コンフィギュレーション』を参照してください。
9.6 TCP/IP Services の開始と停止
HP TCP/IP Services for OpenVMS の標準ソフトウェアおよびオプションの構成要素を構成した後でこれを開始したり,所定のシャットダウンのために停止したりするには,次のコマンドを実行します。
$ @SYS$MANAGER:TCPIP$CONFIG
その後,TCP/IP Services for OpenVMS を開始または停止するためのメニュー・オプションを入力します。
9.7 TCP/IP Services のドキュメント
表 9-3
は,HP TCP/IP Services for OpenVMS のためのドキュメントのリストです。
TCP/IP Services for OpenVMS の計画,インストール,構成,使用,および管理の詳細については,これらのドキュメントを参照してください。
表 9-3: HP TCP/IP Services for OpenVMS のドキュメント
| マニュアル | 説明 |
『TCP/IP Services for OpenVMS リリース・ノート』 |
インストール,アップグレード,互換などソフトウェアの変更点に関する情報について説明しています。 また,新旧のソフトウェアの問題,制限事項,さらにソフトウェアとドキュメントの訂正事項についても説明しています。 |
『Digital TCP/IP Services for OpenVMS Concepts and Planning』 |
TCP/IP の概念と構成要素について紹介し,ソフトウェア構成の計画を立てる上で役に立つ情報を提供しています。 |
『TCP/IP Services for OpenVMS インストレーション/コンフィギュレーション』 |
使用している OpenVMS ホストに HP TCP/IP Services for OpenVMS 製品をインストールし,構成する方法について説明しています。 |
『Digital TCP/IP Services for OpenVMS User's Guide』 |
遠隔ファイル操作,電子メール,TELNET,TN3270,ネットワーク・プリントなど,TCP/IP Services で使用可能なアプリケーションの使用方法について説明しています。 さらに,これらのサービスを使用して,プライベート・インターネットまたはワールドワイド・インターネット上にあるシステムと通信する方法についても説明しています。 |
『TCP/IP Services for OpenVMS Management』 |
HP TCP/IP Services for OpenVMS ソフトウェア製品の日常的な管理について説明しています。 |
『TCP/IP Services for OpenVMS Management Command Reference』 |
HP TCP/IP Services for OpenVMS コマンドについて説明しています。 『TCP/IP Services for OpenVMS Management』の補完的ガイドです。 |
『TCP/IP Services for OpenVMS Tuning and Troubleshooting』 |
HP TCP/IP Services for OpenVMS のトラブルシューティングの方法およびその性能チューニングの方法について説明しています。 |
『TCP/IP Services for OpenVMS Guide to IPv6』 |
HP TCP/IP Services for OpenVMS IPv6 の機能と,使用しているシステムに IPv6 をインストールし,構成する方法について説明しています。 |
『HP TCP/IP Services for OpenVMS Sockets API and System Services Programming』 |
HP TCP/IP Services for OpenVMS を使用し,Berkeley Sockets Sockets または OpenVMS システム・サービスを使用してネットワーク・アプリケーションを開発する方法について説明しています。 |
『HP TCP/IP Services for OpenVMS ONC RPC Programming』 |
Open Network Computing Remote Call (ONC RPC) を使用した上位レベルのプログラミングの概要を示し,RPCGEN プロトコル・コンパイラを使用してアプリケーションを作成する方法および RPC プログラミング・インタフェースについて説明しています。 |
『HP TCP/IP Services for OpenVMS SNMP Programming and Reference』 |
Simple Network Management Protocol (SNMP) および SNMP アプリケーション・プログラミング・インタフェース (eSNMP) について説明しています。 TCP/IP Services で提供されるサブエージェント,サブエージェントを管理するために提供されるユーティリティ,および独自にサブエージェントを構築する方法について説明しています。 |
| 『HP TCP/IP Services for OpenVMS Guide to SSH』 | SSH for OpenVMS ソフトウェアを構成,設定,使用,および管理する方法を説明しています。 |
9.8 DECnet-Plus for OpenVMS ネットワーク・ソフトウェア
DECnet-Plus for OpenVMS を使用すると,さまざまなコンパックのオペレーティング・システムが,弊社のオペレーティング・システムや 他のベンダ製のシステムと通信できるようになります。 DECnet-Plus ネットワークは,遠隔システムとの通信,リソースの共有,分散処理などをサポートします。 ネットワーク・ユーザは,ネットワーク上のすべてのシステム上にあるリソースにアクセスできるようになります。 ネットワークに参加しているそれぞれのシステムは,ネットワーク・ノードと呼ばれます。
DECnet-Plus は,DIGITAL ネットワーク・アーキテクチャ (DNA) の第 5 フェーズのインプリメントです。 DNA Phase V では,OSI プロトコルが DECnet プロトコルに統合されています。 さらに,DECnet-Plus は,インターネット規格 RFC 1006 とインターネットの草稿 RFC 1859 をサポートしています。 これによって OSI アプリケーションと DECnet アプリケーションが TCP/IP を介して動作するようになります。 このように DECnet-Plus を使用することによって,弊社のシステムからでも他のベンダのシステムからでも,アプリケーションは,任意の DECnet Phase IV ベースのシステムまたはOSI ベースのシステム上の OSI および DECnetアプリケーションと通信できるようになります。
DECnet-Plus の DECnet (Phase IV) との主な違いは,一般的なプロトコルをサポートしているという点にあります。
DECnet-Plus では,ネットワーク機能を拡張するためのさまざまな機能が用意されています。 これらの機能を次に示します。
グローバルな名前とディレクトリ・サービス。 大規模なネットワークで,数百万 (理論上) のネットワーク・オブジェクトに対応するアドレッシング情報について,格納,管理,およびアクセスを簡単に実行できるようになる。 このオブジェクトには,エンド・システム,ユーザ,プリンタ,ファイル,ディスクなどがある。
オプションのローカル名およびディレクトリ・サービス。 グローバルなディレクトリ・サービスを使用する必要がない,小さなネットワークの場合にオプションで使用できる。
Network Control Language (NCL) を使用した拡張ネットワーク管理機能。
ホスト・ベースのルーティング。 OpenVMS システムが,ルーティング・ドメイン内で DECnet-Plus の中間システムとして動作できるようになる。
LAN から WAN へルーティングする必要があるが,専用ルータを使用しないで既存のシステムでルーティングする構成の場合,この機能が特に便利になる。 ホスト・ベースのルーティングは,高いスループットが要求されるネットワーク構成には向いていない。
OSI 規格のアドレス形式の場合のアドレッシング機能の向上。 これにより,実質的に無限の数のノードで,一意なアドレッシングが使用できるようになる。 既存の Phase IV アドレスも,DECnet-Plus にアップグレードしたシステムで使用し続けることができる。 この場合 Phase IV アドレスは,構成プロシージャにより,OSI アドレス形式に自動的に変換される (DECnet Phase IV 互換アドレスと同様)。
アドレスの自動構成。 隣接するルータが,ローカル・ノードのノード・アドレスを構成できるようになる。
OSI コンポーネントの単一の構成。
DECnet-Plus ソフトウェアには,DECnet-Plus ソフトウェアと同様,(VAX システム上の) X.25,ワイド・エリア・デバイス・ドライバ(WANDD),ファイル転送,アクセス,管理 (FTAM),および仮想ターミナル (VT) の各アプリケーションが含まれる。 Alpha システムや I64 システムでは,X.25 のサポートが,DECnet-Plus ソフトウェアと切り離されている。
DECnet ノード名の命名規則は,次の 2 種類の DECnet 機能に対応しています。
完全な名前は階層構造になった DECnet ノード名で,DECdns ネーム・サービスに格納できる。 完全な名前は,最大で 255 文字の長さにすることができる。
DECnet-Plus でノード同意語と呼ばれる DECnet Phase IV のノード名
これらの名前は,DECnet Phase IV で使用される短い名前で,6 文字以下という制限を受ける。 これらの名前を使用すると,DECnet-Plus が同じネットワーク内の DECnet Phase IV システムと下位互換性を持つようになる。
完全な名前の構文
ネームスペース:.ディレクトリ ... .ディレクトリ.ノード名
ネームスペース |
グローバル・ネーム・サービスを指定 |
ディレクトリ ... .ディレクトリ |
ネーム・サービス内の階層化ディレクトリ・パスを定義 |
ノード名 |
DECnet ノードを定義する特定のオブジェクト |
次に,ローカル・ネームスペース,DECdns,DNS/BIND に対応する完全なノード名の例を示します。
ローカル・ネームスペース - LOCAL:.CPlace
DECdns - ACME:.warren.CPlace
Domain - CPlace.warren.acme.com
ユーザが入力した完全な名前は,大文字と小文字が区別された状態でシステムに格納されます。 ただしエントリと,格納された名前をマッチングさせる時には,システムは大文字と小文字を区別しません。 つまりユーザが Acme と入力した場合でも,システムは,それを ACME と認識します。
完全な名前についての詳細は,DECnet-Plus のドキュメントを参照してください。
9.8.2 OpenVMS Cluster システムのサポート
DECnet-Plus ソフトウェアは,OpenVMS Cluster システムをサポートし,OpenVMS Cluster の別名の使用についてもサポートしています。 DECnet-Plus では,それぞれの OpenVMS Cluster に対して別名を 3 つ使用できるようになっています。 DECnet Phase IV の場合,ノードを DECnet-Plus の別名のメンバにすることはできません。 それぞれの別名を,DECnet Phase IV のノードで使用するよう構成する必要があります。
CLUSTER_CONFIG.COM コマンド・プロシージャは,OpenVMS Cluster の構成を実行します。
このとき任意のクラスタ・メンバから,クラスタのすべてのメンバについて構成することができます。
これにより,DECnet-Plus for OpenVMS の NET$CONFIGURE.COM コマンド・プロシージャが起動され,NCL 初期化スクリプトに対して必要な変更が行われます。
OpenVMS Cluster を構成するには CLUSTER_CONFIG.COM を使用します。
CLUSTER_CONFIG.COM がすでに使用されている場合に,DECnet-Plus のサテライト・ノードを構成するには,NET$CONFIGURE.COM を直接使用します。
9.8.3 DECnet-Plus 管理ツールおよびユーティリティ
DECnet-Plus for OpenVMS で提供されるツールにより,次の作業ができるようになります。
ローカルおよび遠隔の DECnet Phase V 構成要素を管理する。 Network Control Language (NCL) コマンド行インタフェースと Motif ベースのウィンドウ・インタフェース (NET$MGMT) の 2 つのインタフェースが使用できる。
DECNET_MIGRATE ツールが提供されているため,DECnet Phase IV のそれぞれの NCP コマンドを NCL コマンドに,またはコマンド・プロシージャ内の NCP コマンドを NCL コマンドに変更することができるようになっている。 DECnet-Plus を使用したことはないが NCL については熟知しており,慣れている NCP コマンドを NCL 構文で指定したい場合は,DECNET_MIGRATE を使用できる。
NCP Emulator (NCP.EXE) で遠隔の DECnet Phase IV ノードを管理する。 このユーティリティは,NCP コマンドの大部分をサポートしている。 ただし NCL に代わって,DECnet-Plus システムの管理を行うためのものではない。
DECnet-Plus for OpenVMS 初期化スクリプト (SYS$MANAGER:NET$*.NCL 形式のファイル) を使用する。
(MOP を使用して) ダウンライン・ロード,アップライン・ロード,遠隔コンソール接続,ループバック・テスト・サポートなどの保守操作を実行する。 DECnet-Plus for OpenVMS では,同時ダウンライン・ロードの拡張サポートとパフォーマンスが提供されている。 MOP,およびこのプロセスを開始する方法については,『DECnet-Plus for OpenVMS Network Management guide』を参照。
EVD を使用して,拡張イベント・ロギングを実行する。
トラブルシューティングのために Common Trace Facility (CTF) を使用する。
DECNET_REGISTER ツールを使用して,ローカル・ネームスペースおよび DECdns ネームスペースに対応する,ネットワーク内のノード名を管理する。
9.9 DECnet-Plus ネットワークに参加するための準備
DECnet-Plus ノードを構成する前に,アドレッシング,ネーム・サービスの使用,タイム・サービス,ルータについて決定しておく必要があります。 また X.25 ソフトウェアに固有のライセンスの従属関係についても注意する必要があります。
準備の詳細については,『DECnet-Plus Planning Guide』を参照してください。
9.10 DECnet-Plus のインストールおよび構成
DECnet-Plus for OpenVMS ソフトウェアは,次のいずれかの方法でシステムにインストールすることができます。
OpenVMS インストール・プロシージャのメニューから,オペレーティング・システムのアップグレードまたはインストールとして
DCL コマンド PRODUCT INSTALL を使用し,レイヤード・アプリケーションとして
DECnet-Plus ソフトウェアが正常にインストールされたら,次のようにメニュー方式の構成プロシージャを起動し,使用しているシステムおよびネットワーク固有の特性に従って,ソフトウェアを構成します。
DECnet Phase IV ノードからアップグレードしており,既存の Phase IV 構成を使用するよう計画し,使用しているノードが OpenVMS Cluster の一部でない場合には,Fast 構成オプションを使用する。 次のコマンドを入力する。
$
@SYS$MANAGER:NET$CONFIGURE
ノードがクラスタ内にあり,DECnet-Plus をアップグレードまたは再構成しており,DECnet を TCP/IP を介して使用する場合には,Basic 構成オプションを使用する。 次のコマンドを入力する。
$
@SYS$MANAGER:NET$CONFIGURE BASIC
ノードの構成が複雑で,これをカスタマイズする必要がある場合には,Advanced 構成オプションを使用する。 次のコマンドを入力する。
$
@SYS$MANAGER:NET$CONFIGURE ADVANCED
インストールおよび構成の詳細については,『DECnet-Plus for OpenVMS Installation and Basic Configuration』を参照してください。
9.11 DECnet over TCP/IP の使用方法
DECnet over TCP/IP 機能により,DECnet Phase V アーキテクチャが,TCP/IP ネットワークと共存し,通信することができるように拡張されます。 この機能を使用するには,有効な DECnet ライセンスと,PATHWORKS Internet Protocol (PWIP) インタフェースをサポートする,ライセンスを受けインストールされている TCP/IP 製品が必要です。
次のような目的がある場合には,DECnet over TCP/IP を使用する必要があります。
DECnet から TCP/IP への変更。 業務上の必要から,TCP/IP ベースのネットワークに徐々に移行するため。 DECnet over TCP/IP の機能は,ユーザにとって透過的に設計されている。
共存。 DECnet アプリケーションまたは OSI アプリケーション,あるいはその両方を実行するため。
DECnet over TCP/IP を使用すると,次の作業ができるようになります。
TCP/IP ネットワーク・バックボーンを介して DECnet ネットワークを拡張する。 DECnet over TCP/IP を使用すると,複数のネーム・サービス (DECdns,大規模な LOCAL ファイル,および DNS/BIND) を組み合わせることができる。
既存の 2 つの DECnet ネットワークを結合することにより,ノード番号を再設定することなくネットワークを拡張する。
バックボーンの一部または全体で,IP 専用トラフィックを使用する。 DECnet over TCP/IP を使用すると,DECnet アプリケーションまたは OSI アプリケーションは,TCP/IP プロトコル・スタックおよび IP ネットワーク・バックボーンのより下位のレベルで実行することができる。
機能を,ノード間ベースまたはネットワーク全体で使用可能にする。
DECnet over TCP/IP 機能は,TCP/IP を使用して複数の DECnet ノード間に論理リンクを形成します。 PATHWORKS IP Driver を使用して,TCP とインタフェースを取ります。 DECnet アプリケーションは,TCP/IP によって接続された DECnet ノード間で透過的に実行されます。 DECnet ノードのユーザは,DECnet ノード同意語または IP フルネームを使用して,相互に接続することができます。 次に例を示します。
$ SET HOST SYSABC
$ SET HOST SYSABC.boston.acme.com
$ SET HOST 16.12.42.19
使用しているシステムで DECnet over TCP/IP を使用可能にするには,その前に次の作業を実行しなければなりません。
システムに DECnet-Plus をインストールし,構成する。
高度なオプションを使用して NET$CONFIGURE プロシージャを実行するときには,ディレクトリ・サービスのリストに,少なくとも Domain ディレクトリ・サービスを指定しなければなりません。 また,「Configure the OSI transport or run over TCP/IP?」という質問に対して YES と答える必要があります。
システムに TCP/IP Services をインストールし,構成する。
TCPIP$CONFIG 構成プロシージャを実行する場合には,PWIP ドライバを使用可能にし,DECnet-Plus と TCP/IP Services の間にブリッジが形成されるようにする。 PWIP ドライバは,Optional Components メニューの Option 1 にリストされています。
DECnet over TCP/IP を使用可能にしたり,使用したりする方法の詳細については,『DECnet-Plus for OpenVMS Applications Installation and Advanced Configuration
』および 『DECnet-Plus for OpenVMS Network Management
』を参照してください。
9.12 DECnet Phase IV から DECnet-Plus への移行
ネットワークを DECnet Phase IV から DECnet-Plus に移行するときには,ネットワークを DECnet-Plus に部分的に移行することも,ネットワーク全体を移行することも可能です。 DECnet-Plus には下位互換性があるため,使用しているシステムとネットワークを,DECnet Phase IV アプリケーションやルーティングなどを使用してこれまでどおり実行するように選択することができます。 使用可能な追加機能は,準備ができればいつでも,DECnet-Plus からインプリメントすることができます。 変更点のほとんどは,ネットワーク環境に関係しています。 これらは,ほとんど全体が,ユーザおよびアプリケーションに対して透過的です。
豊富な自動化ツール (DECnet 移行ユーティリティおよび NCP Emulator) の他,単純化された構成プロシージャも使用でき,全機能をインプリメントした DECnet-Plus への移行しやすくするために役立ちます。
ネットワークの移行の詳細については,『DECnet-Plus Planning Guide』を参照してください。
9.13 DECnet-Plus の開始と停止
DECnet-Plus を OpenVMS インストール・メニューからインストールすると,DECnet-Plus ソフトウェアは自動的に開始します。 何らかの理由 (たとえば SYS$STARTUP:NET$SHUTDOWN.COM を実行してネットワークをシャット・ダウンした後であるなど) で DECnet-Plus を再始動する必要がある場合には,次のコマンドを実行します。
$ @SYS$STARTUP:NET$STARTUP
DECnet-Plus ソフトウェアをシャットダウンすると,システム上のさまざまなネットワーク構成要素が使用不可能になり削除される場合には,次のコマンドを入力します。
$ @SYS$MANAGER:NET$SHUTDOWN
9.14 DECnet-Plus Documentation
表 9-4
は,DECnet-Plus for OpenVMS ソフトウェアをサポートするドキュメントのリストです。
DECnet-Plus の計画,インストール,構成,および管理の詳細についてはこれらのドキュメントを参照してください。
表 9-4: DECnet-Plus for OpenVMS のドキュメント
| マニュアル | 説明 |
『DECnet-Plus for OpenVMS Release Notes』 |
ソフトウェアの変更,インストール,アップグレード,互換性などの情報,新旧のソフトウェアの問題,制限事項などについて解説しています。 またソフトウェアとドキュメントの訂正事項についても説明しています。 このテキスト・ファイルは,構成プロシージャでプリントすることができます。 |
『DECnet-Plus for OpenVMS Introduction and User's Guide』 |
システムのネットワークについて紹介し,ユーザ情報について解説しています。 |
『DECnet-Plus for OpenVMS Installation and Basic Configuration』 |
DECnet-Plus のインストール方法,BASIC 構成オプションの実行方法について説明しています。 |
『DECnet-Plus for OpenVMS Applications Installation and Advanced Configuration』 |
ネットワーク・アプリケーションのインストール方法と構成方法について説明し,ADVANCED 構成オプションの実行方法について説明しています。 |
『DECnet-Plus for OpenVMS Installation Quick Reference Card』 |
インストール時にシステムを DECnet-Plus にアップグレードする場合に使用できる簡単なリファレンスが提供されます。 |
『DECnet-Plus Planning Guide』 |
DECnet Phase IV の機能を DECnet Phase V に移行する手順を紹介しています。 |
『DECnet-Plus for OpenVMS Network Management』 |
DECnet-Plus システムのネットワーク管理の概念とタスクについて解説しています。 |
『DECnet-Plus Network Control Language Reference』 |
すべての NCL コマンドの解説と例を紹介しています。 |
『DECnet-Plus Problem Solving』 |
ネットワークが動作しているときに発生する DECnet-Plus の問題を特定し解決する方法について説明しています。 またループバック・テストを実行する方法についても説明しています。 |