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本バージョンでは, VMSINSTAL ではなく POLYCENTER Software Installation Utility (PCSI) を使用してインストールを行うように変更されています。これによりインストレーション処理が速くなり,インストールしたソフトウェアの管理がより簡単になります。
DCPS V2.4 のインストレーションは次のコマンドで実行します。
$ PRODUCT INSTALL DCPS [/SOURCE=device:[directory]] |
device および directory には DCPS キットの場所を指定します。
/DESTINATION 修飾子の使用,あるいは論理名 PCSI$DESTINATION の定義による代替インストール先の指定は行わないでください。 DCPS はシステム・ディスクのクラスタ共通領域にインストールする必要があるため,代替インストール先の指定に関係なく,システム・ディスクのクラスタ共通領域にインストールされます。
PCSI ユーティリティの詳細および PRODUCT コマンドの使用方法については,『 OpenVMS システム管理者マニュアル 』および『 OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル 』,あるいはオンライン・ヘルプを参照してください。
古いバージョンの OpenVMS を使用している場合, DCPS をインストールする前に PCSI パッチ・キットのインストールが必要になる場合があります。 表 3-2 を参照して, PCSI パッチのインストールが必要かどうかを判断してください。このパッチ・キットをインストールすることにより,ご使用のシステムの PCSI がアップグレードされます。
OpenVMS バージョン | PCSI パッチ・キット |
---|---|
Alpha V6.2 〜 V7.1-2 | DEC-AXPVMS-VMS62TO71U2_PCSI-V0200--4 |
Alpha V7.2 以降 | 必要なし |
I64 V8.2 | 必要なし |
VAX V5.5-2 | 提供されていない。 DCPS の VMSINSTAL キットについては HP にご相談ください |
VAX V6.2 〜 V7.1 | DEC-VAXVMS-VMS62TO71_PCSI-V0200--4 |
VAX V7.2 | DEC-VAXVMS-VMS72_PCSI-V0101--4 |
VAX V7.3 | 必要なし |
これらのパッチは下記の場所から入手できます。
OpenVMS Alpha V6.1 および OpenVMS VAX V6.1 システムにおける DCPS のサポートは終了しました。
3.1.6 クラスタワイドの論理名
DCPS は,さまざまな論理名を使用してアプリケーションおよびプリント・キューの動作を制御します。 DCPS は論理名をクラスタワイドには定義しませんが,システム・テーブルに加えてクラスタワイドの論理名テーブルから,論理名を読み取ります。クラスタ論理名テーブルで定義されている DCPS 論理名は,システム・テーブルで提供されている論理名よりも優先されます。
この機能は,クラスタ論理名テーブルで DCPS 論理名を定義しているユーザのために提供されます。
3.1.7 LPD 製品名の変更
LPD を使用して,DCPS がサポートするプリンタに対して出力を行う場合,『 DCPS システム管理者ガイド』で説明されているように論理名 DCPS$queue-name_PRODUCT_NAME を定義する必要があります。この論理名の値として,プリンタの PostScript 製品名が使用されます。
DCPS V2.3 で LPD 機能が導入された際には,末尾のスペースや大文字/小文字の違いも含め,プリンタの製品名を正確に指定する必要がありました。本バージョンから,PRODUCT_NAME 論理名の値が正確に一致する必要はなくなり,末尾のスペースや大文字/小文字の違いは無視されます。
たとえば,キュー MYPRINTER で LPD を使用して HP LaserJet 9000 MFP プリンタに出力する場合,以前は PRODUCT_NAME 論理名を次のように定義する必要がありました。
$ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$MYPRINTER_PRODUCT_NAME - _$ "HP LaserJet 9000 MFP " |
本バージョンは次のように,論理名の値の末尾のスペースの有無や大文字/小文字の違いは気にせずに定義できます。
$ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$MYPRINTER_PRODUCT_NAME - _$ "HP LaserJet 9000 mfp" |
新たな給紙トレイを追加するための他社製のオプションである TowerFeed 444 が, HP LaserJet 9000 シリーズ・プリンタでサポートされるようになりました。
3.1.9 サポートされていないプリンタにおける PCL インタプリタ
これまでは,DCPS でサポートしないプリンタについては, PCL インタプリタを持っていないものとしてジョブを処理していました。現在ではほとんどのプリンタがこの機能をサポートしているため, DCPS でサポートしないプリンタについても, PCL インタプリタを持っているものと想定して動作するというのがデフォルトの動作となっています。
サポートされていないプリンタに対して送られた PCL ジョブは, DCPS PCL 4 トランスレータによる PostScript 変換の代りに,そのプリンタの PCL インタプリタを使用して印刷されます。これにより,より速く,より正確な出力が行われ,サポートされていないプリンタにおける PCL 5 および PCL 6 ファイルの印刷が可能になっています。
PCL インタプリタを持っていない DCPS 非サポート・プリンタに対して PCL ファイルを印刷するには, NUMBER_UP あるいは PAGE_LIMIT パラメータのいずれかを指定することにより, PCL 4 トランスレータを使用するように DCPS に指示することができます。
3.2 DCPS Version 2.4 で修正された問題点
以下の問題はDCPS V2.4 で修正されています。
3.2.1 ホチキス止めのエラー
デフォルトでジョブに対してホチキス止めを設定する特定のプリンタでは, DCPS の STAPLE=NONE パラメータは効果がなく DCPS ジョブは常にホチキス止めされていました。本バージョンでは,それらのプリンタのデフォルトのホチキス止め設定が STAPLE=NONE の指定により正しく変更され,ホチキス止め無しで正しくジョブが処理されるようになりました。
3.2.2 トレイの選択
DCPS V2.4 ではトレイの選択処理が改善されているため, HP LaserJet 2100,2200 および Color LaserJet 2500 などで,給紙トレイと用紙サイズが制限なしで選択できるようになりました。
この変更によりいくつかの HP 製プリンタで発生していた次のような問題が解決されています。
この章では,特定のプリンタに対して適用される DCPS の使用方法について説明します。『 DCPS システム管理者ガイド』および『 DCPS ユーザーズ・ガイド』に,その他のプリンタ固有情報は含まれてます。
4.1 HP 9085 MFP
4.1.1 ファームウェア・パッチ
DCPS は,このプリンタ用のプリンタ・ファームウェア・パッチ 1-FBSB1 が適用されていることを必要とします。このパッチが適用されていないと, DCPS ジョブが正常終了しません。パッチが適用されているかどうかは,構成情報ページを出力して確認することができます。
4.1.2 キュー起動時の問題
このプリンタは,ジョブの最初の DCPS 同期要求に応答しません。このため,このプリンタのキューを起動する前に論理名DCPS$queue-name_NO_SYNC を定義しないと, DCPS ジョブが開始されません。詳細は,
第 6.3 節 あるいは『 DCPS システム管理者ガイド』を参照してください。
4.1.3 デフォルト・サイズ以外の用紙の選択
このプリンタは,プリント・ジョブの間に DCPS によって要求されたすべての情報を返しません。特に要求したトレイの用紙サイズは,その時には DCPS にはわかりません。このため,トレイ内の用紙がそのプリンタのデフォルト・サイズではない場合,トレイ名だけで用紙を選択することはできません。そのプリンタのデフォルト・サイズ以外の用紙が含まれているトレイをINPUT_TRAY に指定した場合,プリンタは要求したサイズの用紙を補給するようにプロンプトを表示します。
そのプリンタのデフォルト・サイズ以外の用紙が含まれているトレイを選択する場合は,INPUT_TRAY の代わりに, MEDIA_TYPE,PAGE_SIZE,あるいは SHEET_SIZE パラメータを組み合わせて使用してください。
4.1.4 サポートされる TCP/IP プロトコル
TCP/IP 経由でこのプリンタに出力する場合は, Raw TCP プロトコルを使用してください。このプリンタで,ポート 9101 を使用する Direct Queue を有効にしておく必要もあります。
このプリンタに DCPS プリント・ジョブを出力するのに LPD プロトコルを使用することはできません。この制限実行は,将来のバージョンの DCPS で解決される予定です。
4.2 Xerox Phaser 4500, 6250, 7300, 7750 および 8400
4.2.1 サポートされるプロトコル
これらのプリンタへ TCP/IP 経由で出力する場合は, LPD プロトコルを使用してください。これらのプリンタは DCPS へジョブ終了情報を返さないため,これらのプリンタで Raw TCP プロトコルを使用することはできません。 Raw TCP 経由で出力されるジョブは,印刷状態からホールド状態になった後,ストールします。
4.2.2 メディア・タイプ・セレクション機能の制限
これらのプリンタでは,メディア・タイプで用紙を選択することはできません。 MEDIA_TYPE パラメータに値を指定しても,その要求は無視されます。
4.3 キューの起動に関する問題
いくつかの HP プリンタは,ジョブの最初の DCPS 同期要求に応答しません。このため,これらのプリンタのキューを起動する前に,プリンタのファームウェアを 表 4-1 に示すバージョンにアップグレードするか,あるいは論理名 DCPS$queuename_NO_SYNC を定義しておく必要があります。この処理を行っていないと,DCPS ジョブは開始されません。詳細は,本書の 第 6.3 節 ,あるいは『 DCPS システム管理者ガイド』を参照してください。
また,プリンタのパーソナリティ設定は PS (PostScript) に設定することをお勧めします。ただし,プリンタのパーソナリティを PS (PostScript) に設定するだけではこれらのプリンタの問題は解決できません。
この問題は,以下のバージョンのプリンタ・ファームウェアで解決されます。
プリンタ | ファームウェア |
---|---|
HP Color LaserJet 5500 | 20030605 04.016.2 |
HP LaserJet 2300 | 20030530 04.047.2 |
HP LaserJet 4200 | 20030530 04.016.1 |
HP LaserJet 4300 | 20030530 04.016.1 |
ご使用のプリンタのファームウェア・バージョンは,プリンタのパネル・メニューから表示可能な設定情報,プリンタにインストールされている情報ページ,あるいは WebJetAdmin プリンタ管理ユーティリティで "Firmware Datecode" として参照できます。
ファームウェアのダウンロードとプリンタへのインストール方法については, HP の web サイトから入手することができます。製品ページのトップ・ナビゲーション・バーから サポート&ドライバ を選択したあと, HP ドライバ&ダウンロード を選択してください。
この章では,日本語版のDECprint Supervisor に固有の注意事項および制限事項について説明します。
5.1 HP LaserJet プリンタにおける日本語ファイルの出力に関する注意事項
HP LaserJet および HP Color LaserJet プリンタで日本語を含んだデータ (テキストあるいは PostScript) を印刷するには,日本語 PostScript フォントをプリンタにインストールする必要があります (日本語PCLフォントでは印刷できません)。
LaserJet の日本語 PostScript フォントは,プリンタの機種ごとに別売のメモリ・モジュール (DIMM) またはコンパクト・フラッシュ・メモリ・カードで提供されています。注文番号や購入方法など,詳細は弊社営業担当までお問い合わせください。
5.1.1 LaserJetプリンタでの日本語出力に関する制限事項
日本語フォントをインストールした LaserJet プリンタには次の制限事項があります。
日本語 DECprint Supervisor V1.2 以前のANSIトランスレータは A4用紙へのランドスケープ・モードで66行出力する場合に問題がありました。サポートされているプリンタのなかには A4用紙への印刷可能領域が平均的な印刷領域より少し狭くなっているものがあります。これらのプリンタでは,66行目の内容が失われてしまうか,切れてしまいました。これはプリント・パラメータが PAGE_SIZE=A4, PAGE_ORIENTATION=LANDSCAPE のときに発生します。
日本語 DECprint Supervisor V1.2 以降に添付される ANSIトランスレータは A4用紙へのランドスケープ・モードでの印刷で66行目も正しく出力できます。これを行うために ANSI トランスレータは使用するフォント(SGR 15)の縦方向のスペーシングを変更し,A4用紙の最大印刷可能領域の値を修正しました。従来のトランスレータの出力結果の方を使いたい場合,DCPSキュー論理名を次の例のように定義します。
$ DEFINE/SYSTEM DCPS$<queue-name>_OLD_ANSI_PAGE_SIZES TRUE |
なお,漢字 ANSI トランスレータでは,この修正は行なわれていません。もし,漢字トランスレータ使用時に,66行目が正常に印刷されない場合は, FULL_A4_LANDSCAPE のレイアップ定義ファイルを使用して印刷してください。
5.3 半角英数字フォント
Ryumin-Light.Roman および GothicBBB-Medium.Roman などの日本語フォントには,JISローマ字セット以外の文字は含まれていません。このため,装置制御ライブラリ,DCPS$DEVCTL.TLB にある拡張された findfont オペレータを用いて,これらのフォントに対してISOLatin1 および DEC マルチナショナル文字セットを使用することはできません。
5.4 テキスト・トランスレータ
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