日本語HP DECprint Supervisor (DCPS) for OpenVMS
リリース・ノート


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3.1.4 新しいインストーション・プロシージャ

本バージョンでは, VMSINSTAL ではなく POLYCENTER Software Installation Utility (PCSI) を使用してインストールを行うように変更されています。これによりインストレーション処理が速くなり,インストールしたソフトウェアの管理がより簡単になります。

DCPS V2.4 のインストレーションは次のコマンドで実行します。


    $ PRODUCT INSTALL DCPS [/SOURCE=device:[directory]]

device および directory には DCPS キットの場所を指定します。

/DESTINATION 修飾子の使用,あるいは論理名 PCSI$DESTINATION の定義による代替インストール先の指定は行わないでください。 DCPS はシステム・ディスクのクラスタ共通領域にインストールする必要があるため,代替インストール先の指定に関係なく,システム・ディスクのクラスタ共通領域にインストールされます。

PCSI ユーティリティの詳細および PRODUCT コマンドの使用方法については,『 OpenVMS システム管理者マニュアル 』および『 OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル 』,あるいはオンライン・ヘルプを参照してください。

古いバージョンの OpenVMS を使用している場合, DCPS をインストールする前に PCSI パッチ・キットのインストールが必要になる場合があります。 表 3-2 を参照して, PCSI パッチのインストールが必要かどうかを判断してください。このパッチ・キットをインストールすることにより,ご使用のシステムの PCSI がアップグレードされます。

表 3-2 PCSI パッチ・キット
OpenVMS バージョン PCSI パッチ・キット
Alpha V6.2 〜 V7.1-2 DEC-AXPVMS-VMS62TO71U2_PCSI-V0200--4
Alpha V7.2 以降 必要なし
I64 V8.2 必要なし
VAX V5.5-2 提供されていない。 DCPS の VMSINSTAL キットについては HP にご相談ください
VAX V6.2 〜 V7.1 DEC-VAXVMS-VMS62TO71_PCSI-V0200--4
VAX V7.2 DEC-VAXVMS-VMS72_PCSI-V0101--4
VAX V7.3 必要なし

これらのパッチは下記の場所から入手できます。

3.1.5 OpenVMS V6.1 のサポートの終了

OpenVMS Alpha V6.1 および OpenVMS VAX V6.1 システムにおける DCPS のサポートは終了しました。

3.1.6 クラスタワイドの論理名

DCPS は,さまざまな論理名を使用してアプリケーションおよびプリント・キューの動作を制御します。 DCPS は論理名をクラスタワイドには定義しませんが,システム・テーブルに加えてクラスタワイドの論理名テーブルから,論理名を読み取ります。クラスタ論理名テーブルで定義されている DCPS 論理名は,システム・テーブルで提供されている論理名よりも優先されます。

この機能は,クラスタ論理名テーブルで DCPS 論理名を定義しているユーザのために提供されます。

3.1.7 LPD 製品名の変更

LPD を使用して,DCPS がサポートするプリンタに対して出力を行う場合,『 DCPS システム管理者ガイド』で説明されているように論理名 DCPS$queue-name_PRODUCT_NAME を定義する必要があります。この論理名の値として,プリンタの PostScript 製品名が使用されます。

DCPS V2.3 で LPD 機能が導入された際には,末尾のスペースや大文字/小文字の違いも含め,プリンタの製品名を正確に指定する必要がありました。本バージョンから,PRODUCT_NAME 論理名の値が正確に一致する必要はなくなり,末尾のスペースや大文字/小文字の違いは無視されます。

たとえば,キュー MYPRINTER で LPD を使用して HP LaserJet 9000 MFP プリンタに出力する場合,以前は PRODUCT_NAME 論理名を次のように定義する必要がありました。


    $ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$MYPRINTER_PRODUCT_NAME -
    _$ "HP LaserJet 9000 MFP "

本バージョンは次のように,論理名の値の末尾のスペースの有無や大文字/小文字の違いは気にせずに定義できます。


    $ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$MYPRINTER_PRODUCT_NAME -
    _$ "HP LaserJet 9000 mfp"

3.1.8 他社製トレイ・オプションのサポート

新たな給紙トレイを追加するための他社製のオプションである TowerFeed 444 が, HP LaserJet 9000 シリーズ・プリンタでサポートされるようになりました。

3.1.9 サポートされていないプリンタにおける PCL インタプリタ

これまでは,DCPS でサポートしないプリンタについては, PCL インタプリタを持っていないものとしてジョブを処理していました。現在ではほとんどのプリンタがこの機能をサポートしているため, DCPS でサポートしないプリンタについても, PCL インタプリタを持っているものと想定して動作するというのがデフォルトの動作となっています。

サポートされていないプリンタに対して送られた PCL ジョブは, DCPS PCL 4 トランスレータによる PostScript 変換の代りに,そのプリンタの PCL インタプリタを使用して印刷されます。これにより,より速く,より正確な出力が行われ,サポートされていないプリンタにおける PCL 5 および PCL 6 ファイルの印刷が可能になっています。

PCL インタプリタを持っていない DCPS 非サポート・プリンタに対して PCL ファイルを印刷するには, NUMBER_UP あるいは PAGE_LIMIT パラメータのいずれかを指定することにより, PCL 4 トランスレータを使用するように DCPS に指示することができます。

3.2 DCPS Version 2.4 で修正された問題点

以下の問題はDCPS V2.4 で修正されています。

3.2.1 ホチキス止めのエラー

デフォルトでジョブに対してホチキス止めを設定する特定のプリンタでは, DCPS の STAPLE=NONE パラメータは効果がなく DCPS ジョブは常にホチキス止めされていました。本バージョンでは,それらのプリンタのデフォルトのホチキス止め設定が STAPLE=NONE の指定により正しく変更され,ホチキス止め無しで正しくジョブが処理されるようになりました。

3.2.2 トレイの選択

DCPS V2.4 ではトレイの選択処理が改善されているため, HP LaserJet 2100,2200 および Color LaserJet 2500 などで,給紙トレイと用紙サイズが制限なしで選択できるようになりました。

この変更によりいくつかの HP 製プリンタで発生していた次のような問題が解決されています。


第 4 章
プリンタ固有の情報

この章では,特定のプリンタに対して適用される DCPS の使用方法について説明します。『 DCPS システム管理者ガイド』および『 DCPS ユーザーズ・ガイド』に,その他のプリンタ固有情報は含まれてます。

4.1 HP 9085 MFP

4.1.1 ファームウェア・パッチ

DCPS は,このプリンタ用のプリンタ・ファームウェア・パッチ 1-FBSB1 が適用されていることを必要とします。このパッチが適用されていないと, DCPS ジョブが正常終了しません。パッチが適用されているかどうかは,構成情報ページを出力して確認することができます。

4.1.2 キュー起動時の問題

このプリンタは,ジョブの最初の DCPS 同期要求に応答しません。このため,このプリンタのキューを起動する前に論理名DCPS$queue-name_NO_SYNC を定義しないと, DCPS ジョブが開始されません。詳細は, 第 6.3 節 あるいは『 DCPS システム管理者ガイド』を参照してください。

4.1.3 デフォルト・サイズ以外の用紙の選択

このプリンタは,プリント・ジョブの間に DCPS によって要求されたすべての情報を返しません。特に要求したトレイの用紙サイズは,その時には DCPS にはわかりません。このため,トレイ内の用紙がそのプリンタのデフォルト・サイズではない場合,トレイ名だけで用紙を選択することはできません。そのプリンタのデフォルト・サイズ以外の用紙が含まれているトレイをINPUT_TRAY に指定した場合,プリンタは要求したサイズの用紙を補給するようにプロンプトを表示します。

そのプリンタのデフォルト・サイズ以外の用紙が含まれているトレイを選択する場合は,INPUT_TRAY の代わりに, MEDIA_TYPE,PAGE_SIZE,あるいは SHEET_SIZE パラメータを組み合わせて使用してください。

4.1.4 サポートされる TCP/IP プロトコル

TCP/IP 経由でこのプリンタに出力する場合は, Raw TCP プロトコルを使用してください。このプリンタで,ポート 9101 を使用する Direct Queue を有効にしておく必要もあります。

このプリンタに DCPS プリント・ジョブを出力するのに LPD プロトコルを使用することはできません。この制限実行は,将来のバージョンの DCPS で解決される予定です。

4.2 Xerox Phaser 4500, 6250, 7300, 7750 および 8400

4.2.1 サポートされるプロトコル

これらのプリンタへ TCP/IP 経由で出力する場合は, LPD プロトコルを使用してください。これらのプリンタは DCPS へジョブ終了情報を返さないため,これらのプリンタで Raw TCP プロトコルを使用することはできません。 Raw TCP 経由で出力されるジョブは,印刷状態からホールド状態になった後,ストールします。

4.2.2 メディア・タイプ・セレクション機能の制限

これらのプリンタでは,メディア・タイプで用紙を選択することはできません。 MEDIA_TYPE パラメータに値を指定しても,その要求は無視されます。

4.3 キューの起動に関する問題

いくつかの HP プリンタは,ジョブの最初の DCPS 同期要求に応答しません。このため,これらのプリンタのキューを起動する前に,プリンタのファームウェアを 表 4-1 に示すバージョンにアップグレードするか,あるいは論理名 DCPS$queuename_NO_SYNC を定義しておく必要があります。この処理を行っていないと,DCPS ジョブは開始されません。詳細は,本書の 第 6.3 節 ,あるいは『 DCPS システム管理者ガイド』を参照してください。

また,プリンタのパーソナリティ設定は PS (PostScript) に設定することをお勧めします。ただし,プリンタのパーソナリティを PS (PostScript) に設定するだけではこれらのプリンタの問題は解決できません。

この問題は,以下のバージョンのプリンタ・ファームウェアで解決されます。

表 4-1 推奨される最小ファームウェア・バージョン
プリンタ ファームウェア
HP Color LaserJet 5500 20030605 04.016.2
HP LaserJet 2300 20030530 04.047.2
HP LaserJet 4200 20030530 04.016.1
HP LaserJet 4300 20030530 04.016.1

ご使用のプリンタのファームウェア・バージョンは,プリンタのパネル・メニューから表示可能な設定情報,プリンタにインストールされている情報ページ,あるいは WebJetAdmin プリンタ管理ユーティリティで "Firmware Datecode" として参照できます。

ファームウェアのダウンロードとプリンタへのインストール方法については, HP の web サイトから入手することができます。製品ページのトップ・ナビゲーション・バーから サポート&ドライバ を選択したあと, HP ドライバ&ダウンロード を選択してください。


第 5 章
日本語 DCPS の使用上の注意事項および制限事項

この章では,日本語版のDECprint Supervisor に固有の注意事項および制限事項について説明します。

5.1 HP LaserJet プリンタにおける日本語ファイルの出力に関する注意事項

HP LaserJet および HP Color LaserJet プリンタで日本語を含んだデータ (テキストあるいは PostScript) を印刷するには,日本語 PostScript フォントをプリンタにインストールする必要があります (日本語PCLフォントでは印刷できません)。

LaserJet の日本語 PostScript フォントは,プリンタの機種ごとに別売のメモリ・モジュール (DIMM) またはコンパクト・フラッシュ・メモリ・カードで提供されています。注文番号や購入方法など,詳細は弊社営業担当までお問い合わせください。

5.1.1 LaserJetプリンタでの日本語出力に関する制限事項

日本語フォントをインストールした LaserJet プリンタには次の制限事項があります。

5.2 A4用紙にランドスケープ・モードで印刷する場合

日本語 DECprint Supervisor V1.2 以前のANSIトランスレータは A4用紙へのランドスケープ・モードで66行出力する場合に問題がありました。サポートされているプリンタのなかには A4用紙への印刷可能領域が平均的な印刷領域より少し狭くなっているものがあります。これらのプリンタでは,66行目の内容が失われてしまうか,切れてしまいました。これはプリント・パラメータが PAGE_SIZE=A4, PAGE_ORIENTATION=LANDSCAPE のときに発生します。

日本語 DECprint Supervisor V1.2 以降に添付される ANSIトランスレータは A4用紙へのランドスケープ・モードでの印刷で66行目も正しく出力できます。これを行うために ANSI トランスレータは使用するフォント(SGR 15)の縦方向のスペーシングを変更し,A4用紙の最大印刷可能領域の値を修正しました。従来のトランスレータの出力結果の方を使いたい場合,DCPSキュー論理名を次の例のように定義します。


$ DEFINE/SYSTEM  DCPS$<queue-name>_OLD_ANSI_PAGE_SIZES TRUE 

なお,漢字 ANSI トランスレータでは,この修正は行なわれていません。もし,漢字トランスレータ使用時に,66行目が正常に印刷されない場合は, FULL_A4_LANDSCAPE のレイアップ定義ファイルを使用して印刷してください。

5.3 半角英数字フォント

Ryumin-Light.Roman および GothicBBB-Medium.Roman などの日本語フォントには,JISローマ字セット以外の文字は含まれていません。このため,装置制御ライブラリ,DCPS$DEVCTL.TLB にある拡張された findfont オペレータを用いて,これらのフォントに対してISOLatin1 および DEC マルチナショナル文字セットを使用することはできません。

5.4 テキスト・トランスレータ

  1. フォーム定義
    漢字LN05の標準設定では,フォーム・データ用のメモリは 16 ページあわせて 64 Kバイトとなっています。この値は,グラフィック・オプションなどの使用で増やすことができます。トランスレータによるフォーム・オーバーレイでは,1 ページあたり 64 Kバイトまでのフォーム・データを登録することができます。1 ページあたり 64 Kバイトを越えるフォーム・データを登録しようとすると,DECLKF シーケンスそのものが無効になります。PRINT コマンドでマルチファイル指定をした場合,あるファイル内で登録したフォーム・データを他のファイルで使用することはできません。複数のファイルで共通のフォームを使用したい場合は,フォーム・データをセットアップ・モジュールとして登録し,そのモジュールをPRINTコマンドの /SETUP修飾子で指定してください。

  2. 複数ファイルの印刷
    複数ファイルを1つのプリント・ジョブで印刷する場合,各ファイルの先頭で初期設定が行われます。このため,あるファイルの中で行った設定を,次のファイルで利用することはできません。このようなときは,セットアップ・モジュールに必要なエスケープ・シーケンスを登録しておくことにより,各ファイルの初期状態を制御することができます。

  3. LN82R での外字と斜体(イタリック)属性の混在
    LN82R に印刷されるファイルに外字が含まれ,かつイタリック属性が漢字に対して指定されると,PostScript の FATAL エラーになる場合があります。この場合,プリント・キューを停止し,キューからジョブを削除し,プリンタの電源を入れ直してください。

  4. テキスト・トランスレータの性能
    テキスト・トランスレータで日本語文書を印刷する場合,必ずしもプリンタ・ハードウェアの最高速度では印刷できません。白黒反転や網かけ,倍角文字,縦書き,外字があるとき,および 1 バイト文字と 2 バイト文字が頻繁に交互に現われるような場合には,印刷速度はさらに遅くなります。

  5. テキスト・トランスレータの外字と内蔵フォント
    日本語 PostScript プリンタの内蔵漢字フォントは,PostScript のアウトライン・フォントです。外字は日本語 VMS の FEDIT ユーティリティ,または CHARACTER_MANAGER ユーティリティで作成することができますが,このフォントは,40 ドット× 40 ドットまたは 32 ドット× 32 ドットのビットマップ・フォントです。したがって,外字の倍角文字は内蔵フォントの倍角文字に比べて,印字品質が劣ります (ギザギザが見えます) 。

  6. 罫線文字
    テキスト・トランスレータで使用している罫線文字は,文字間隔/行間隔が文字サイズに比べてかなり大きいときにはつながりません。
    また,この罫線は PostScript フォントを使用して表示しているため,表示される位置やサイズによっては装置上で 1 ピクセル程度のずれを生じることがあり,結果として,罫線が一直線にならない場合があります。

  7. SIXEL と文字の重ね合わせ
    SIXEL とテキストを座標指定 (VPA,HPA など) で位置を指定して,同じページ上で重ね合わせるとき,印刷可能領域上端付近 (通常トップ・マージンの位置) の座標を指定した場合,結果として表示される文字や SIXEL の縦方向 (Y座標) の位置が LN03/漢字LN03 とテキスト・トランスレータでは異なります。SIXEL では,どちらも通常は SIXEL の上端の座標が,指定されたY座標から 70 ピクセル上になるように表示しますが, LN03/漢字LN03 では,この表示方法を取ったときに SIXEL が印刷可能領域上端を超える場合には,SIXEL の上端の座標が,印刷可能領域上端になるように位置を下げて表示します。このため,印刷可能領域上端付近の座標を指定して文字と SIXEL を重ねた場合に,LN03/漢字LN03 とテキスト・トランスレータの出力を比べると,LN03/漢字LN03 の SIXEL はテキスト・トランスレータよりもやや下にずれます。印刷可能領域上端から離れた位置を指定した場合には,両者に違いは見られません。

  8. テキスト・トランスレータのプロローグ処理
    テキスト・トランスレータは,印刷ジョブの開始時に,大量の PostScript プロローグ処理 (初期設定) を行います。この処理は印刷ジョブの内容によらず常に同じなので,初めからプリンタに常駐させておけば,ジョブの最初の 1 ページが出力されるまでの時間を短縮することができます。デフォルトでは,プロローグを常駐させることにしていますが,このことはテキスト・トランスレータ以外の印刷ジョブにとっては,利用できる PostScript VM (Virtual Memory) が減少していることを意味します。弊社では,PostScript アプリケーションが VM を 400KB 以上使わないようにお勧めしますが,もしもこの制限を守っていないソフトウェアがあると,PrintServerプリンタでは VM が足りないというエラーで実行できなくなる場合があります。PrintServerプリンタとシリアル・プリンタではプロローグを常駐させる処理が異なります。

  9. PostScript フォント UniqueID
    テキスト・トランスレータでは,使用する PostScript フォントに対して, UniqueID を指定しています。3658490 から 4194312 の UniqueID は他の PostScript アプリケーションでは使用しないでください。

  10. 半角ローマ字フォントの制限
    PrintServerでは,内蔵 PostScript フォントの Ryumin-Light.Roman および GothicBBB-Medium.Roman の半角ローマ字フォントは,JIS ローマ字以外の文字セットをサポートしません。このため,テキスト・トランスレータでは明朝体半角ローマ字フォントを PostScript Courierフォントで代用しています。
    ゴシック体半角ローマ字は PostScript の半角ローマ字を使用しているため, JISローマ字または ASCII 文字セット以外の文字セットを指定した場合,存在しない文字は空白 (スペース) 文字で置き換えられます。

  11. SETUPモジュールでの印刷
    ANSI(ASCII),KANJI,KANJI78 または LA_KANJI データ・タイプの SETUP モジュールを作成し,その中で文字を印刷することができますが,この文字を PRINT コマンドで指定したファイルの先頭ページに印刷することはできません。SETUP モジュールの中で印刷した場合には,PRINT コマンドのファイルを印刷する前に改ページが行われます。 ANSI(ASCII),KANJI,KANJI78 または LA_KANJI データ・タイプで SETUP モジュールを作成し,その中でフォント・ローディング命令またはピッチ指定命令を使用したときには,空白 (スペース) 文字を含む実際の文字の印刷を SETUP モジュールの中で行うことはできません。

  12. DECVPFS とマージン
    可変ページ・フォーマット選択命令 (DECVPFS) でページ・オリエンテーションを変更する場合,オリエンテーション変更後のページ・マージン (上下マージン,左右マージン) も同時に指定してください。
    マージンを新たに指定しない場合,従来のマージンの値が採用され,シートの外にマージンが設定された状態になることがあります。

  13. DECVERP,DECSHORPのパラメータPs=0
    漢字LN05とテキスト・トランスレータの8ポイント・フォントの高さは,それぞれ 768 centipoint と 922 centipoint として定義されています。このため,フォントの高さをもとに位置を制御する命令を使うと,出力結果が異なってしまいます。これを避けるため,行ピッチの指定はSPIなどで明示的に行うようにしてください。また,8ポイント・フォントを使っていないファイルでも GSM (文字サイズ指定命令)の後に,DECVERP,DECSHORPのパラメータで0を指定すると,漢字LN05とテキスト・トランスレータで行ピッチ/文字ピッチの違いが生じることがあります。この場合もSPIなどで行ピッチ/文字ピッチを明示的に指定する事により,同様に互換性を保つことができます。

  14. A4 ページ・サイズでの文字ピッチ
    A4 ページ・サイズに対して,デフォルト状態での文字属性指定命令(SGR)で,Ps=10 または 11 によりフォント指定後,文字ピッチ指定命令(DECSHORP)の Ps=0 を指定した時の文字ピッチは, 10cpi でなく 10.3cpi となります。

  15. SS2 と SS3
    SS2 または SS3 に続いてコントロール・コードがあった時の処理が,LN05 などと異なる場合があります。 SS2 または SS3 は,対象となる文字コードの直前に入れるようにしてください。

  16. SUB
    SUB コードが漢字コードの 1/2 バイト間に割り込んだ場合の処理が,LN05 などと異なります。LN05 では SUB コードを漢字の 2 バイト目とみなして全角のリバース・クエスチョンを出力しますが,テキスト・トランスレータは SUB コードを先に処理するため,漢字は正常に出力されます。

  17. DEC DUTCH と DEC FRENCH
    DEC DUTCH 文字セットの 4/0 と 7/11 および DEC FRENCH 文字セットの 7/14 は,マニュアルの記述と違う文字が出力されます。

  18. PLD と PLU
    下線,上線,二重下線は,PLD,PLU を行っても移動しません。

  19. 垂直タブ
    VT によって次の垂直タブ位置まで移動する場合,行間隔が狭すぎるとさらに次の垂直タブ位置まで移動することがあります。このときには,行間隔をひろげるか,または今より小さいフォントを使うことにより,所要のタブ位置に移動することができます。

  20. DECVERP と垂直タブ位置
    DECVERP (行ピッチ選択命令) を行った場合,垂直タブはホーム・ポジションを基準とした位置にすべて再設定されます。このため,最初の VT による垂直方向の移動量は,現在の位置によって変化しますが,次の VT からは DECVERP によって設定された行ピッチと等しくなります。

  21. DECDHLT と DECDWL の組み合せ
    LA_KANJI データ・タイプで,DECDHLT (行拡大命令・4倍角)がすでに有効となっている行でDECDWL (行拡大命令・横倍角) を指定した場合,DECDWL は無視されます。同じ行のなかで行拡大命令を組み合わせることは避けてください。

  22. DECSTBM と DECVERP
    LA_KANJI データ・タイプでは,DECSTBM (上下マージン設定命令) で設定されたマージンはDECVERP (行ピッチ選択命令)ではクリアされません。この場合,DECSTBM によってマージンを再設定してください。

  23. SHS と DECSHORP または GSM と DECSHORP
    SHS (水平ピッチ選択命令) と DECSHORP (水平ピッチ選択命令) の組み合わせ,または GSM (文字サイズ指定命令) と DECSHORP の組み合わせで,水平タブ位置が LN05 などと合わないことがあります。この場合,水平タブのかわりにスペースを使うことにより,同じ出力を得ることができます。

  24. JFY
    JFY (行揃え) をオフに設定した行は,その 1 行すべてが行揃えされなくなります。

  25. DECVERP と DECSLPP
    DECVERP (行ピッチ選択命令) によって行ピッチが指定されていた場合,DECSLPP (用紙長設定命令) で設定した行数より 1 行早く改ページする場合があります。このときには,行間隔をひろげるか,または今より小さいフォントを使うことにより,指定した行数で改ページするようになります。

  26. DECVERP による縦倍角のクリア
    LA_KANJI データ・タイプでは,GSM(文字サイズ変更命令)による縦倍角指定は, DECVERP (行ピッチ選択命令)によって解除されます。

  27. ファイルの先頭にある改ページまたは改行+改ページ
    テキスト・ファイルの先頭が,改ページ・コードまたは改行+改ページで始まる場合,漢字LN03に比べて余分な白紙が1枚多く出力されることがあります。このようなときは,先頭の不要な改ページ・コードを取り除くか,またはファイル・フォーマットを stream_LFに変更することにより,漢字LN03と同様な動きになります。

  28. DEClaser2400 (漢字LN10) との違い
    DEClaser 2400 で提供されている以下の機能は,テキスト・トランスレータでは利用できません。

  29. 文字属性
    文字属性にアンダーライン,二重アンダーライン,抹消ライン,反転,または網かけが設定されている場合,文字ピッチの設定およびそのときに使用される文字フォントの組み合せによっては漢字と英数字との間で文字属性に 1 ピクセル程度のずれを生じることがあります。


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